ニキシー管時計キット 組み立てガイド

(2023年版キット用に情報を更新しました)

このページでは黒井電波のニキシー管時計キットの組み立て方を説明します。

完成すると下の写真のようなニキシー管を主役にしたミニマルデザインの小型時計ができます。(スタンダードモデルとして完成品販売しているものと同じです。)手順はちょっと多いですが、主要部分は完成済みなので、失敗することは少ないはずです。じっくりお楽しみください。

高電圧が発生します。不用意に取り扱うと感電やケガ、火災等の危険があります。

必ずケースに組み込んでから電源を入れてください。

このキットを使用して発生した事故や損害について、黒井電波(q61.org)および黒井はその責を負いません。自己責任でご使用ください。

必要な工具等

組み立てには以下の工具等が必要です:

  • はんだこて
    • 温調つきのものを強く推奨します。持っていない方はこの際に買いましょう。白光のFX600や gootのPX-201で大丈夫です。価格以上の価値があります。
    • あまり細いコテ先だとうまくはんだづけできないので、普通の太さのコテ先をおすすめします。黒井は白光の「T18-C2」を使っています。
  • はんだ
    • ニキシー管にあまり負荷を与えないように、鉛フリーはんだに比べて低い温度で溶ける有鉛はんだのほうが良いと思います。
  • ニッパー
  • ヒートガンもしくはドライヤー
  • プラスドライバー(1番)
  • A4の紙1枚
    • 4つ折りにして使うので、A5またはA6でも大丈夫です。

追加で、以下のものがあると便利です:

  • 定規
  • フラックス
  • 両面テープ
  • マスキングテープ
  • ヤスリ

手順0: キットの内容を確認する

作業を始める前に、キットの内容が揃っていることを確認してください。もし何か足りないものがあったり、間違って入っているものがあったら、黒井までご連絡ください。交換します。

(下の画像は 2019 年版のキットの内容です。2023 年版は、タクトスイッチとフォトトランジスタが未実装でパーツとして同梱されています)

手順1: フォトトランジスタとタクトスイッチをメイン基板にはんだづけする

メイン基板の左奥部分に、フォトトランジスタとタクトスイッチをはんだづけします。

フォトトランジスタは LED スペーサーをはかせた状態ではんだづけします。短い方の足が、USB コネクタに近い方の穴に通るようにします。以下の写真を参考にしてください。

タクトスイッチも上の写真のようにはんだづけします。

はんだづけ後には、フォトトランジスタ、タクトスイッチともに、足を短く切ってください。長さのめやすは隣のピンソケットです。以下の写真を参考にしてください。

メイン基板は、以下の写真のようになれば完成です。基板の端面にバリがある場合は、ここでヤスリできれいにしておくとよいでしょう。

手順2: ニキシー管の足を切る

(ここから手順 8 までは、ニキシー管 IN-16 について解説しています。他のタイプのニキシー管のキットの場合は、以下を参考に、ご自身で工夫の上はんだづけを行ってください。)

ニキシー管を基板に挿入しやすくするため、ニキシー管の足を螺旋状に切ります。すべてのピンの長さが異なるようにするのがポイントです。下の写真を参考にしてください。

ニキシー管にプラスチックの「はかま」がついている場合は、つけたまま行うと簡単です。

手順3: ニキシー管を基板に挿入する

ニキシー管についているプラスチックの「はかま」を外し、ニキシー管基板に挿入します。注意点は以下です:

  • 基板端のバリをヤスる場合はニキシー管挿入前に行っておきます。
  • チップ部品がついていない面にニキシー管本体が来るように挿入します。
  • ニキシー管内部のピンの根元が白くなっているピンを、基板のパッドが少し大きくなっている穴に通します。
  • 正しく挿入するとピンはすべて平行になります。クロスしているピンがないことを充分確認します。

ここではとりあえず挿入するだけで、傾きや高さは次の手順以降で揃えます。次の手順以降でピンの挿入位置がズレていると修正が困難なので、正しく挿入したかどうか、念入りに確認しましょう。

手順4: ニキシー管の高さを揃える

まず、ニキシー管6本それぞれ、表示側最前面のピンを1本だけはんだづけします。先ほど白いピンを合わせた長いパッドの反対側にあるピンです。(この時点ではニキシー管の高さがズレていてもかまいません。)

はんだづけ位置。クリップで基板に傷がつかないようにマスキングテープを貼っています。

このはんだづけしたピンにはんだこてを再度当てながらニキシー管を上下させ、数字表示部分の高さを揃えます。ニキシー管の数字の上の円盤が基板から32mm~33mmになるように揃えると、完成したときケースとのバランスが良くなります。

はんだごての温度を上げすぎるとはんだのフラックスがすぐ飛んだりニキシー管に負荷がかかったりするので、300℃くらいにとどめておくのがよいと思います。また、1本のニキシー管のピンにずっとはんだこてを当て続けず、少し調整したらはんだこてを離して次の管へ、を繰り返して熱しすぎないようにします。もしはんだがダマダマになってしまったら、フラックスを追加するとまたサラサラになります。

ニキシー管内の数字の高さが揃っていると出来上がりがとてもキレイになります。この手順はじっくり時間をかけて納得いくまで行いましょう。面倒でもここでちゃんと揃えておくと最後に満足できます。がんばって!

これくらい揃っていればOK。右端の2本はねじって正面を向かせます。

高さ調整が終わった時点で、全部のニキシー管が真正面を向いていることを確認します。真正面を向いていない管があったら:

  • まずピンの挿入状態を確認します。ピンの挿入位置がズレていたら、はんだを取り除いて挿入しなおします。
  • ピンの挿入位置が正しいのに真正面を向いていないときは、ニキシー管本体を優しくねじって真正面を向かせます。

手順5: ニキシー管の前後方向の傾きを揃える

こんどはニキシー管の前後の傾きを揃えます。ニキシー管6本それぞれ、ひとつだけ大きくなっているパッドをはんだづけします。

高さ調整の手順と同様に、いまはんだづけしたピンにはんだこてを当てながら、ニキシー管の前後方向の傾きを揃えます。この手順も最終的な見た目に大きく影響しますので、じっくり時間をかけて行いましょう。さっきも言いましたが、 面倒でもここでちゃんと揃えておくと最後に満足できます。がんばって!

満足いくまでがんばって!

手順6: ニキシー管の左右方向の傾きを揃える

次は左右方向の傾きを揃えます。ニキシー管を揃える作業はこれが最後なのであと一息がんばりましょう。

手順4、手順5 ではんだづけしたピンからだいたい90度の位置にあるピンを、ニキシー管6本それぞれはんだづけします。

手順4、手順5 と同様に、このピンにはんだこてを当てながら、ニキシー管を左右に動かして傾きを揃えます。

ニキシー管のガラス本体を基準に揃えても、中で数字が傾いているのが気になる場合は数字を基準に揃えても、どちらでも大丈夫です。お好みで揃えてください。

揃いました!

手順7: 覚悟を決める

この次の手順では、ニキシー管の全部のピンをはんだづけします。全部のピンをはんだづけすると、その後の高さや傾きの修正は困難です。今ならまだピンを3本しかはんだづけしていないので直せます。ここで最終確認しましょう。

ニキシー管の高さはキレイに揃っていますか?

前後左右上下から見たとき、ニキシー管はキレイに揃っていますか?

ピンの挿入位置は間違っていませんか?ピンがクロスしているところはないですか?

後戻りはできないと思いましょう。微妙に傾いているのが気になるときは、躊躇せず戻って、納得いくまで直しましょう。

もういちど言います。次に進んだら後戻りはできません。

覚悟できましたか?

手順8: ニキシー管の全部のピンをはんだづけする

いざ、ニキシー管のピンを全部はんだづけします。先にピンをニッパーでカットしてからはんだづけするほうがやりやすいです。

カットしたピンは、基板から0.5mm未満の長さになるようにしてください。それより長いとメイン基板の部品とショートして、ニキシー管もしくはメイン基板を破壊する可能性があります。

このくらいばっさり切ってください

めやすとして、ニキシー管基板に載っているチップ部品と同じ、もしくはそれより低くカットできていれば大丈夫です。

手順9: 熱収縮チューブをネオンランプのピンに被せる

熱収縮チューブを切って、約22mmの長さのものを4本つくります。ぴったり22mmでなくても大丈夫です。

これに、コロンの上側のドットに使うネオンランプ2個の足4本を通し、ヒートガンやドライヤーで収縮させます。あと2個のネオンランプには何もしません。

2023 年版キットで、ネオンランプがペアになっている場合は、ペアの片方ずつに熱収縮チューブを被せます。この作業でペアを混ぜてしまわないよう、ご注意ください。

ドライヤーでチューブを収縮させると、以下の写真のような見た目になります。

手順10: ネオンランプをはんだづけする

ネオンランプを基板にはんだづけします。先ほどチューブをかぶせたほうを後ろに、何もしていない方を手前にはんだづけします。はんだづけが終わったら、ニキシー管と同様に、ピンをできるだけ短く切ります。

ピンが前から見えないくらい切ってください

手順11: メイン基板を底板にねじ止めする

底板の保護シートをはがし、ゴム足を貼りつけ、その上にメイン基板をねじ止めします。下の図を参考にねじ止めしてください。

完成すると以下のようになります。(2019 年版キットの場合は、次の手順の前に、バックアップバッテリーを外しておくことをおすすめします。)

手順12: ニキシー管基板にピンヘッダをはんだづけする

まず、メイン基板のソケットにピンヘッダを挿します。

その上にニキシー管基板を置き、ねじ止めします。使うのは長さ5mmのねじです。このとき、ニキシー管基板がメイン基板のちょうど上にぴったり重なるよう、位置を調整しながらねじ止めします。

はんだより先にねじ止めします

ねじ止めできたら、ピンヘッダをはんだづけします。

ソケットに挿さったままなので手早く行いましょう

これでニキシー管時計の本体部分は完成です。ここで通電テストをしてもいいのですが、高電圧部分が露出していますので、安全のため先にケースに収納してしまうことをお勧めします。

手順13: ケースに収納する

ケースに傷がつかないよう、A4の紙を4つ折りにして、ケースに差し込みます。その上に、ニキシー管時計の本体を置きます。

直角取付ブロックの上に、1.5mm厚のスペーサーを置きます。このスペーサーはその後の手順で落ちやすいので、もし落ちて厄介だと感じられる場合は両面テープなどで固定してください。

時計本体をケースに入れ、長さ12mmのねじで固定します。このとき、以下の手順で行うと楽に固定できます:

  • 直角取付ブロックにすでに止まっている底板からのねじを少しゆるめて、直角取付ブロックが少し回るようにしておく。
  • 長さ12mmのねじでケースを固定する。ここはある程度しっかり締めます。
  • 先ほどゆるめた底板のねじもある程度しっかり締める。
  • 双方のねじを交互にしっかり締める。
  • ねじがしっかり留まったら、紙を引き抜く。

これで組み立て手順はおしまいです。お疲れ様でした!

手順14: ニキシー管が点灯したら完成です!

壊れてもいいUSB電源アダプターにニキシー管時計を接続します。何も問題なければ、ニキシー管が点灯します。手順通りバックアップバッテリーを抜いてある場合は0時00分からカウントスタートします。(点灯が確認できたらバックアップバッテリーを装着して問題ありません。)

ニキシー管が点灯しましたか?おめでとうございます!

あとは、こちらのページを参照して、日付と時刻、シャッフル動作、またそれ以外の設定をお好みで行ってください。

もしうまく点灯しない場合は、このページ末尾の「うまく点灯しないときは」を参照してください。

付録1: ネオンランプの輝度調整

ネオンランプはニキシー管と点灯の特性が違うため、ニキシー管に比べて暗く見える場合があります。このようなときは、設定モードの 08 番から、ネオンランプの最低輝度を調整してください。 設定モードの入り方は、こちらのページを参照してください。

付録2: ランプテストモード

このニキシー管時計にはランプテストモードが備わっています。 自動的にニキシー管の全数字を順に点灯するので、全部きちんと点灯するかどうか簡単に確認できます。

ランプテストモードは設定モードの98番です。設定モードの入り方は、こちらのページを参照してください。

付録3: うまく点灯しない場合は

メイン基板は出荷前に全数動作チェックしていますので、ニキシー管がうまく点灯しない場合は、よっぽどのことがなければはんだづけ不良です。場合にあわせて以下の箇所を確認してください:

  • 全く点灯しない
    • ニキシー管やネオンランプのピンを短くカットしましたか?0.5mm未満にカットしなおしてください。
    • USB電源アダプターとUSBケーブルを他のものに交換してください。
  • ニキシー管1本だけ全く点灯しない
    • 点灯しない管の白いピンのはんだづけを確認してください 。
    • ピンヘッダのはんだづけを確認してください。
  • ニキシー管1本だけ、特定の数字やドットが点灯しない
    • 点灯しない管の全ピンのはんだづけを確認してください。
    • ピンヘッダのはんだづけを確認してください。
  • 全部のニキシー管の特定の数字やドットが点灯しない
    • ピンヘッダのはんだづけを確認してください。
  • 特定の数字だけ、別の数字と一緒に点灯する
    • ニキシー管のピンがクロスしていないか、ニキシー管のピンが隣同士くっついてはんだづけされていないか、確認してください。
    • ピンヘッダのピンが隣同士くっついてはんだづけされていないか確認してください。
  • 特定の数字または全部の数字の端が点灯せず、文字が欠けたように見える
    • 明るさ設定を最大にしても文字が欠けて点灯す場合は、残念ながらニキシー管のガス漏れです。ニキシー管を交換してください。
  • ネオンランプが暗い(特に周囲が暗いとき)
    • ネオンランプはニキシー管と点灯の特性が違うため、ニキシー管に比べて暗く見えることがあります。上記付録1を参照して調整してください。

それ以外の不具合・不明点

組み立て方でわからない点、組み立て後の不具合、その他なんでも、不明点等は黒井までお問い合わせください。

免責事項

このキットはアマチュアの電子工作向けに提供されており、明示・暗示を問わず、商業的な使用可能性や長期的な製品保証を含め、またこれに限らない、いかなる保証もありません。

このキットを使用して発生した、直接・間接の事故や損害について、黒井電波(q61.org)および黒井はその責を負いません。自己責任でご使用ください。