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q61.org :: USB白黒液晶ディスプレイ「ちびモ」:: つくりかた

2012年 8月 10日 版

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このページは

ミニUSB液晶モニタ「ちびモ」の Arduino 版の製作方法を解説します。

このページでは、シールドを含めて自作される方向けに説明を行います。 ちびモ専用のシールドキットを使われる場合もこのページの説明で製作できますが、 一部必要ない部品やステップがあります。それらの箇所には、 ★星印と緑色で注釈を入れてあります★のでご注意ください。

あいかわらず、いろいろ説明が足りなかったり、見づらかったりするかもしれません。 順次なおしていきますのでご容赦ください。フィードもご利用ください。



更新履歴

2012.08.10
ソフトウエアを新版に入れ換えました。ちびモを2台まで同時にコントロールできるようになりました。また、Windows 7 でも画面ミラーにて動作させることができるようになりました。
PC 側のソフトをアップデートするときは、前もって古いバージョンのソフトをアンインストールしてください。
2012.01.15
ソフトウエアを無線対応の新版に入れ換えました。(無線版の製作説明はちょっとお待ちください。) PC と Arduino の間のプロトコルが変わっていますので、 従来のものをバージョンアップするときは、Arduino のスケッチと PC 側のソフトの両方をアップデートしてください。
2011.03.07
PC 側のソフトをインストールする時に dll がなくてインストールできないことがありました。 インストーラを対策版に差し替えました。


必要なモノ

Arduino UNO もしくは Arduino Duemilanove − 1台
ちびモのベースになる、とても有名なマイコンボードです。千石電商などで買えます。完成品として売られているので、はんだづけの必要はありません。(Arduino Mega は非対応です)

液晶ディスプレイモジュール (LCDモジュール) − 1個
128ドット×64ドット の白黒液晶ディスプレイモジュールで、「KS0108 互換」の20ピンのものならならなんでも OK です。たくさんの種類のものが市販されていますが、ここでは秋月電子の P-02159 をおすすめします。入手しやすく、また工作も簡単です。これもコネクタ以外は完成した状態で売っているので、はんだづけはちょっとだけです。

配線板キット (ユニバーサルシールド) − 1枚
Arduino では配線板や機能拡張モジュールを「シールド」といいます。ちびモは Arduino に LCD モジュールを拡張する形なので、そのためのシールドをつくります。自分でシールドを作るためのキットが市販されていますのでそれを使いましょう。サンハヤトの「UB-ARD01」などがちょうどいいです。これも千石電商などで買えます。
★ちびモ専用シールドキットを使う場合は、ユニバーサルシールドは要りません。★

半固定抵抗器 10kΩ − 1個
液晶のコントラスト調整用の抵抗器です。手で回すタイプではなく、ドライバで回すタイプのものです。電子部品屋さんならどこにでもあります。
★ちびモ専用シールドキットを使う場合は、キットに同梱されています。★

配線材 − 適宜
配線板キットを加工するのに使います。細いビニル線で大丈夫です。これもどこでも買えます。
★ちびモ専用シールドキットを使う場合は、必要ありません。★

ピンヘッダ − 適宜
配線板と LCD を接続するのに使います。LCD に秋月電子の P-02159を使う場合は、セットでついてくるので別途買う必要はありません。これも大抵の電子部品屋さんにあると思います。
★ちびモ専用シールドキットを使う場合は、キットにいくらか付属してくるので、不足分を適宜ご用意ください。★

Windows PC − 1台
Windows の入った PC が必要です。いまのところ、ちびモのソフトは、残念ながら Mac には対応していません。Windows XP がいちばん相性が良いです。 Windows Vista や Windows 7 でも一応動きますが、ちびモのソフトの現在の仕様から、PCの外部モニタとしては動作せず、メイン画面のミラーとして動きます。

以上のほか、工具が必要です。はんだこて、はんだ、ワイヤストリッパーがあれば足りるでしょう。いずれも、ホームセンターや電子部品屋さんなど、どこでも売っています。



ステップ1 -- Arduino に慣れる

まず、Arduino で LED をチカチカさせてください。というと漠然としすぎていますので、ここでは以下のことをしてください。

いずれも、実際にやってみると文字で読むよりとても簡単です。このページが若干冗長ながらも参考になるでしょう。同ページに書いてあることができれば大丈夫です。



ステップ2 -- LCD モジュールにピンヘッダをはんだづけする

LCD モジュールに、配線板と接続するためのピンヘッダをはんだづけします。ヘッドとソケットで対になります。どちらをモジュールにはんだづけしてもかまいません。



ステップ3 -- 配線板を組み立てる

★ちびモ専用シールドキットを使う場合は、このステップは必要ありません。キット付属の説明書を参考に組み立ててください。★

配線板を組み立てます。配線図を下に載せます。これをもとに、配線板キットに線材や半固定抵抗器をはんだづけして、配線板を作ってください。

ちなみに、このステップが最も難しいステップです。あとはとても簡単なので、がんばりましょう。

万が一配線を間違えると、Arduino や LCD モジュールが壊れてしまいます。1番ピンがどちらか、正しくつながっているか、まちがってショートしていないか、など、2重 3重 にチェックします。

特に、LCD モジュールはピンが 1 列に並んでいて、逆にしてもつながってしまうので、注意してください。よく見ると、下の写真のように、どちらが1番ピンか、もしくは 20 番ピンか、小さく書いてあります。

チェックは目視で大丈夫だと思いますが、テスターがあればそれでチェックすると完璧です。とはいえ、どんなにひどい配線をしても PC が壊れることはまずありませんから、そんなに緊張しなくても大丈夫です。

完成したシールドの例を左に挙げます。半固定抵抗は LCD で隠れない位置にはんだづけしましょう。



ステップ4 -- ちびモ本体を組み立てる

Arduino、ステップ 3 でできた配線板、LCD モジュールを組み合わせて、モニタ本体をつくります。はめこむだけなので簡単ですね。



ステップ5 -- Arduino にスケッチを書き込む

Arduino に ちびモ のスケッチを書き込みます。スケッチは ◆こちら◆ 。新しいスケッチをつくって、そこにコピペして、アップロードしてください。

なお、スケッチの頭の部分にある以下の1行の数値は、PC との通信速度の設定です。 この行を変えると、PC とちびモの間の通信速度を変えられます。 単位は bps です。

#define BAUD_RATE_1   500000

★ちびモ専用シールドキット (無線対応版) を使う場合は、 上記の速度設定を XBee がサポートしている速度 (38400など) に変え、 設定済みの XBee をシールド上に搭載した上で、 後のステップ8で説明している ChibiMoCo で CTS をオンにすると、 無線ちびモができあがります。★

正しくアップロードでき、ちびモ本体が正しく組み立てられていれば、左の写真のように、LCD にちびモの初期化画面が現れます。

この画面が出たら、ハードウエアは完成です。ここで正しく画面が出ないときは、どこかがおかしいです。以下のことを試してください。

半固定抵抗器を回してみる
これは不具合ではないですが、意外と忘れがちなことなのでここに書きます。
LCD モジュールは、半固定抵抗器が端の位置まで回っていると、コントラスト調整がふりきれてしまい、何も表示されなくなることがあります。半固定抵抗器をゆっくり回して、画面が表示されるかどうか試してみましょう。
もういちどスケッチをアップロードする
Arduino に間違ったスケッチが書き込まれているかもしれません。再度アップロードを試します。
配線板を再チェックする
以上を試しても画面が見えないときは、配線板が間違っている可能性が高いです。配線がまちがっていないか、もういちど確認してください。


ステップ6 -- PC にちびモソフトをインストールする

ちびモのコントロールソフトを PC にインストールします。インストーラにしてありますので、簡単にインストールできます。お使いのOSに合うものを、以下からダウンロードしてください。

◆「ちびモ」ソフトウエア 2012年8月10日版◆ Windows XP 用 ◆

◆「ちびモ」ソフトウエア 2012年8月10日版◆ Windows Vista / Windows 7 用 ◆

古い「ちびモ」ソフトウエアが PC に既にインストールされている場合は、 先にアンインストールを行ってください。正しくアップデートされないことがあります。

アンインストールは、「スタートメニュー」→「ChibiMo」→「アンインストール」から行います。

Windows XP の場合のみ、このインストーラは PC にデバイスドライバをインストールしますので、インストール完了後に PC の再起動が必要です。また、インストール中に黒いウインドウが何度か画面に出たり、画面がちらちらすることがありますが、正常な動作なのでご容赦ください。



ステップ7 -- 画面のプロパティ からちびモドライバをアクティブにする

※ このステップは、Windows XP でのみ必要なステップです。ほかのバージョンの Windows をお使いの場合は、このステップはスキップしてください。

ここまでで、ちびモは通常の外部ディスプレイとして PC に認識されています。インストール直後はオフになっていますので、画面のプロパティを使ってオンにします。

デスクトップで右クリックして「プロパティ」を選択し、「設定」タブから設定します。「Windows デスクトップをこのモニタ上で移動できるようにする」にチェックを入れて、OK ボタンを押します。チェックを入れる箇所は、左の図で赤枠で囲っているところです。



ステップ8 -- ちびモコントローラ (ChibiMoCo) を起動する

ちびモに画面データを転送する、コントローラソフトを起動します。 「スタートメニュー」→「ChibiMo」→「ChibiMoCo」から、ChibiMoCo を起動します。

左のような画面が出ますので、以下の項目を調整します。 「状態」欄に「動作中」が出れば完了です。

「USB接続を確認してください」が出る場合は
ちびモが接続されていません。もしくは接続されていても違うポート番号に接続されています。確認してみてください。
「画面のプロパティを確認してください」が出る場合は
ちびモのドライバがオンになっていません。ステップ 7 に戻って、ちびモがオンになっていることを確認してみてください。

★ちびモ専用シールドキットを使う場合は、 ステップ5でスケッチをアップロードする際に 速度設定を XBee がサポートしている速度 (38400など) に変え、 XBee で PC と Arduino をつないだ上で、 ChibiMoCo の設定画面で「CTSフロー制御」をオンにすると、 無線ちびモとして使うこともできます。★



ステップ9 -- ちびモになにか表示する

たとえば「マイ コンピュータ」のウインドウなどをドラッグして、ちびモの接続されているほうに持っていってみてください。うまくいくと、ちびモの画面にそれが現れます。メイン画面ミラーモードのときは、メイン画面の左上隅がミラーされます。

現バージョンの ChibiMoCo は、外部モニタモードのとき、「画面のプロパティ」で表示されるちびモの領域のうち、左上の部分を表示します。それ以外の部分はちびモに現れませんので、ウインドウが行方不明にならないように注意してください。どうしても行方不明になってしまった場合は、「画面のプロパティ」からいったんちびモをオフにすれば大丈夫です。



ステップ10 -- 完成!

ここまでで画面がちゃんと表示されたら、ちびモは完成です。いろいろ表示して遊んでみましょう。

まれに、 ChibiMoCo で「状態」が「動作中」になっているのに画面が表示されないことがあります。その場合は以下のことをやってみてください。

ポート番号を変えてみる
ちびモのポート番号が変わってしまっていることがあります。また、他の USB 機器で同様に COM ポートを使うものがあって、そちらのポート番号を指定していることがあります。「−」「+」ボタンでポート番号を変えてみてください。
USB を抜き差ししてみる
Arduino がきちんと認識されていないことが稀にあります。上のポート番号変更もあわせて試してみてください。
ドライバをオンオフしてみる
ChibiMoCo がドライバから画面データを受け取れていないことがあります。「画面のプロパティ」から、ChibiMo の画面をオンオフしてみてください。
マウスを動かしてみる
「外部モニタモード」のとき、ときどき画面がまっさらになることがあります。このとき、外部モニタ上でマウスカーソルを動かすと直ります。(2012年8月版から発生。原因調査中。)


ちびモの利用について



連絡先

ちびモについて質問など、作者の黒井に連絡がある場合は、以下の連絡手段を使ってください。

e-mail: ko (atmark) q61 (dot) org  ←(atmark) と (dot) を適宜読みかえてください

Twitter: @q61501331



今後改良したいこと

以下は現時点で気づいているけど改良できていない点です。今後改良していきますのでお待ちください。